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最前線!職業人インタビュー vol17
日本一「うるさい」お客さまを徹底的に満足させたい
株式会社日本旅行 西日本営業本部課長平田進也 氏
ひらた・しんや 1957年、奈良県生まれ。京都外国語大学在学時から、テレビ番組『ラブアタック!』の名物“みじめアタッカー”として活躍。日本旅行入社後も、素人ながら奇抜なキャラクターを生かして『合コン!合宿!解放区』、『おはよう朝日です』、『探偵!ナイトスクープ』などのテレビ番組に400回以上出演。豊富な旅行経験と巧みな話術やユニークな変身芸に熱烈なファンも多く、「浪速のカリスマ添乗員」の異名をとる。ファンクラブの会員は1万2800人を数える。大手旅行会社では異例だが、ツアーの企画から添乗まで一貫して担当し、「平田進也と行くツアー」は発売後、即売り切れに。著書に『出る杭も5億稼げば打たれない!』(小学館)がある。
(2004年10月12日掲載)
※インタビュー:2004年8月12日

― 平田さんは、旅行会社の営業担当者が売り上げる平均の5倍、年間5億円を稼ぐ「浪速のカリスマ添乗員」として名を上げていらっしゃいます。普段、会社ではどういう位置づけで、どのような仕事をされているのでしょうか 。


いま、日本旅行という大手旅行会社で、3つの肩書きで仕事させてもろうてます。1つ目は西日本営業本部販売部の課長、2つ目はJR西日本のシニア向け会員組織「ジパング倶楽部」の販売課長、そんで3つ目は、当社の子ども向けの会員組織「トムソーヤクラブ」の関西の事務局長です。なんでこの3つかいうと、これでたいていのセクションに無尽に入り込んで仕事ができるからなんです。というのは、いまは旅行の市場は無尽蔵に広がっていて、部下の指導やら係数管理やらといった管理職のルーティンワークをしとったら、それを取り込めないからなんです。そんで、自分で自由に動けるポジションにしてもろうたわけです 。

― 添乗のお仕事がメインというわけではないんですか 。

添乗は仕事の一部分に過ぎません。旅行を売る仕事は、ツアーの企画から始まって、お客さんの募集、ツアーの添乗、精算まで一連の流れがあるんです。私はホンマはそれをすべて担当するビジネスマンなんです(笑)。添乗員としての姿が表に出やすいし、こうして「カリスマ添乗員」と言っていただいてるので、平田は添乗員やと思われているんですが。また、そう思われる背景には、旅行会社の分業化があると思います。大手の旅行会社ほど、効率化のために企画は企画だけ、添乗員は添乗だけ、という分業化が進んでいるんです。それで、私はいま、分業化のひずみが来てると思うてます。というのは、旅行も価格競争が行きつくところまで行って、分業化で作られた旅行がかえって流し込みの旅行になっている。料金で勝ち負けが決まる世界で、誰がトクするんでしょう。そらお客さんは安いほうがいいかもわかりませんが、ただ安いだけの流し込まれた旅行でホンマに満足するんでしょうか。逆にお客さんを裏切るだけやと私は思うてます。

― 平田さんのツアーは違う、と 。


お客さんは、旅行に非日常を求めて来られるんです。「私たちを満足させてぇな」という叫び声が届いてくる。納得できたら金は出す、というお客さんはいくらでもいます。みなさん、100円ショップと高級ブランドを使い分けておられる。ですが、旅行は品物ではありませんので、行ってみないといいか悪いかわからないんです。「行って悪かった」ではお客さんはもうついて来ません。ですから、私はお客さんが絶対に納得し、満足してもらえるツアーにこだわっているんです 。

― たとえば、どういったツアーを企画されたのでしょうか 。


イカの活き造りで有名な、佐賀県の呼子にイカを食べに行くツアーとかですね。それも呼子に行ってただ現地のイカを食べるだけではないんです。ガラス細工のように透き通った獲れたてのイカに、小樽からその日のために空輸した日本一のウニをまぜる。それもミョウバンに漬けたウニを持ってくるんやのうて、味を保たせるために海水に漬けて運ぶんです。そこへ静岡から取り寄せた究極のワサビを、伊万里焼のワサビおろしですりおろし、1本3000円する、日本の醤油発祥の地である和歌山の湯浅醤油をかけるんです。こんなこと、『どっちの料理ショー』でもできまへん(笑)。

― ほぉー、それは凄い(笑)。でもどうしてテレビ番組ではできないのでしょうか。


イカは集団で直進する性格があって、水槽に入れると壁にぶつかって傷ついてしまう。だからテレビ局に運べても味は落ちます。それやったらイカの獲れるところに行けばいい、それを旅行にしようと。ワサビや海水に漬けたウニなら1日くらいは大丈夫。伊万里焼はプレゼントで持ち帰ってもらお、そら喜ばれるわー、ってな具合で考えるんです。最高のイカと最高のウニを掛け合わせ、さらにこだわりのワサビと醤油まで揃えると。そうすれば最高の味覚を味わっていただけるわけです。そこまでこだわった演出をして、非日常を求めておられるお客さんに「どうですかー、選ばれたお客さんだけ食べられるんですよー、そんなん食べに行きたいと思いませんかー、そのためにはこれだけのお金がいりますけど、皆さん、大切なお金と時間を私に預けてくれませんかー」って言うと、皆さん賛同されるんです。それで「あんたの言った通りや。60年生きてきていろんなもん食べてきたけど、これ以上のモンはなかったわ。ホンマにおいしいわ、今死んでもええわー」って感動していただけるんです。そうすれば、またお客さんはサケのように私のところに帰ってきてくれるんです(笑)。ファンクラブの1万2800人は、その集大成、私の財産なんです。

― お金をかければできる、というわけでもないんですね 。

旅館に、よそからウニだワサビだと持ち込むのは普通は断られますが、あんたなら仕方ないと快く受け入れてもろうてます。また、お客さんが集まるから大量仕入れができ、業者とシビアに交渉して安くしてもろうてます。でも品質は絶対に落としません。熟年世代のお客さんは方々に旅行していて、見る、食べることのお客としてのプロなんです。こっちは食べさせるほうのプロ。プロ同士の闘いなんです。その勝負に勝たないかんのですよ。そやから、添乗中は食べものの話しかしない。目的はグルメですから。神社仏閣、名所旧跡は、知りたい人はガイドブックで調べてください、と 。

― 平田さんのツアーは食べることがメインなのですか 。


自分自身、食べることと料理が趣味で、会社やめたら料理屋でも開こか思うてます(笑)。会社に入ってから25年間、日本はもとより世界各地のうまいもんを食べてきたんです。それでどこそこの何と何を掛け合わしたら何ができる、ということがひらめくんです。日本の名旅館といわれるところはたいてい泊まり歩いて、厨房まで見せてもろうてます。それで料理の出し方、そのタイミング、器まで見る。そんなところまで見てるの、私だけちゃいますか(笑)。それと、私のツアーは旅行サークルなんです。お客さん同士が仲ようなって顔見知りがたくさん集まる。宴会のときにお客さんの話聞いて回ると、熟年の人は淋しい毎日を送ってはる方も多くて、いろんなしがらみの中で生きておられるんです。それをこの旅行で発散してもらえるんですね。1年間に26回参加してくれはって、1人で200万円も使われるお客さんもおるくらいです 。

― ツアーの宴会では、女装して「平田進子」と名乗られてますね(笑)。それも顧客サービスですか 。

『大阪で世界一周』いうテレビ番組で「謎のイタリア人」として女装して化粧させらたんです。そんとき、鏡見て「こんな世界もあるんか!」ってハッとした(笑)。場を盛り上げるいうのと、おばちゃんに同性としてぶつかってみたらオモロいかもしれんとやり始めました。違う人格になって、言うことも変えることができるんです。ちょっとでも恥ずかしい思うたら、もうできまへん(笑)。

― ところで、やはり会社からは、利益率の責任数字などは求められるのでしょうか 。

そんなん言われると「あんたら誰からカネもろうとるんや」って言うてます(笑)。現に私は人の何倍も稼いでますから。私はお客さんの目線でしか考えてません。会社の都合でなんて考えないんです。お客さんをちょっとでも欺いたら、しっぺ返しをくらいます。金を求める者は、金に逃げられる。お客さんを幸せにしようと一生懸命にやると、後から利益は恐ろしいほどついてくる。私はそれに気がついたんです。それ以来、第一に利益は求めず、お客さんの喜ぶ姿を考えるようにしました。それに大阪のおばちゃんは日本一厳しい。群れると凶暴になる(笑)。悪かったら店の1軒なんて簡単に潰しますから(笑)。逆に、満足いただけたらこれだけ強い味方はおりません。旅行会社は集客がいちばんキツいんですが、お客さんのほうから「次ないの?」と聞いてきはります。野菜や米まで送ってくれる。嫁はんに言うんです、「自給自足できるな」って(笑) 。
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